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第5回建築ツアーin佐賀
2020年7月31日

みなさん、こんにちは!設計の甲斐です。

7月29日、佐賀県へ建築ツアーに行ってきました!

では、見学先を紹介して行きます!

 

富久千代酒造、酒蔵改修ギャラリー(設計:平瀬有人+平瀬祐子)

大正末期に創業された富久千代酒造の旧精米所をギャラリーに改修した建物です。旧精米所が有形文化財に登録されていることから大きく手をかけることができず、修景という形で外観を保存し、屋根を軽量化して構造を持たせています。

中はもともとの土壁を崩せない事から土壁よりも内側に鉄板を挿入することで構造補強しています。古くから残っている構造体や土壁は、新しく挿入された構造体と上手く混じり合いこれまでの歴史と新しい使われ方が楽しめる空間となっていました。

水路をまたがって造られたコールテン鋼の玄関は外観と調和し、入ってすぐに見える片持ちの鉄板の階段は質量感を持たせながらも軽快でとてもきれいでした。古い構造体が間近で見れたり、お酒の展示の仕方も工夫がされており面白い体験ができますので是非興味のある方は行ってみて下さい!

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国指定重要文化財 山口家住宅

次は佐賀平野に建つ古民家です。「漏斗造(じょうごづくり)」といって屋根伏がロの字になっており雨水を中心で集め、室内の瓦でできた樋を通して屋外で排水する変わった造りが特徴的です。筑後川近辺で見られた造りですが、今ではおそらくここでしか見学ができない貴重な住宅です。屋根はヨシで葺いており、葺き替えにはなんと3000万円もかかるそうです!内部は先端を槍のように尖らせ直交する受け材に突き刺すような構造をしており昔ながらの施工と複雑な屋根構造が印象的な空間でした。また、草葺きの厚みや軒の低さが懐かしさを感じさせる建築でもありました。予約が必要ですが、管理されているおじちゃんが建物についての説明や、私生活について面白くお話をしてくださいますので、楽しんで見学することができます。

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清恵庵 (設計:堀口捨己、早川正夫)

佐賀県立博物館横の公園内にある茶室です。茶室建築は長崎県、福岡県と続き3ヶ所目です!それぞれ躙り口や待合所など茶室を構成する要素は同じですが、それぞれの地域性や設計者の意図が反映されており地域による違いを実感することができました。

今回見学した清恵庵は佐賀城の濠を庭と見立て、蓮が一面に見えることや、舟の乗り合い場があることが特徴的です。内部は茶室としては珍しいハイサイドライトのような照明の工夫が施されており、茶室空間ならではの閉鎖感を崩さず、明るい空間をつくることが設計の意図とされています。

学生の時に一度見学させていただいたことがありましたが、当時からの変わらない雰囲気もあれば濠の蓮が減ったことによる変化など、建物だけでなく風景も一緒に保存することの難しさを感じました。

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今回の建築ツアーは大学院時代の2年間過ごした佐賀だったこともあり、酒蔵改修ギャラリー以外は2度目の見学となりました。ギャラリーのある鹿島市は重要伝統的建造物群保存地区にも認定されていることから学生時代に訪れた時と変わらない町がありました。しかし、空き家となっている店舗や住宅を買い取って、観光客向けのレストランや宿泊所とする計画がここまで進んでいたことにはびっくりしました。山口家住宅や清恵庵、道中の風景においても、当時の懐かしさと新たな発見や違った見方で建物や町を見ることができ、今までの建築ツアーでは感じられなかったものを実感することができました。古いものを残しながら、新しいものを受け入れる難しさと新たな可能性が勉強となった一日でした!

 

次回、第6回建築ツアーは九州を離れ山口県に行きます!(宮崎県と鹿児島県にはまだ行っていませんが・・・笑)

コロナの関係もあり様子を見ながらになるかと思いますが、またブログにて見学の報告をさせていただきます!

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